PARFAIT

パフェのはなし

旬のフルーツが登場するたびに、
ゼロベースでパフェを構築しています。
だから、毎回テーマが違う。

水にうかぶラッコのパティシエ

このパフェには、設計があります。
どうやって組み立てたのかを、そのまま書きました。

── 絵本『最後の1ページ』の、最後の1ページです。

この一杯には、いくつも仕掛けがあります。

先に知ってから味わいたい方は、お召し上がりの前に。
食べたときの驚きを楽しみたい方は、食べ終えてから。
どちらでも、お好きなほうで。

桃のパフェ イラスト
SEASONAL

桃のパフェ

¥2,400

このパフェは、桃のコース料理です。

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桃をたくさん盛るのではなく、桃の違う表情を、順番に食べていただく組み立てにしました。一番上も桃、一番下も桃です。

  • フレッシュな桃まず、桃そのもの。ここが味の基準点です
  • ミルク風味のチュイル桃を乗せる土台。軽い食感とミルクの香りを最初に
  • マリネの桃モスカート・ダスティ、東方美人、レモンバームで香りをまとわせています。煮ずに、生っぽさを残したまま
  • 東方美人のグラニテシャリっとした粒子感で、冷たさと蜜の香りを足す
  • 桃のソルベ同じ桃を、低温となめらかな口どけで。フレッシュとは別の表情に
  • 大山乳業のミルクジェラート桃の香りに、乳の厚みを重ねる
  • 東方美人のキャラメルアーモンド柔らかい要素が多い一杯に、カリッとした食感と香ばしさを
  • マスカルポーネとグリークヨーグルトのクリーム桃を酸で切るのではなく、乳脂肪で包んで厚みを作る
  • 東方美人とモスカート・ダスティのジュレ軽く着地させる
  • そして一番下に、もう一度マリネの桃食べ始めも、食べ終わりも、桃で終わるように

モスカート・ダスティは、イタリアのマスカットで作るワイン。マスカットや花を思わせる香りがあります。

東方美人は、台湾の烏龍茶。蜜のような甘い香りと、華やかさを持っています。この香りは、ウンカという小さな虫に葉を吸わせることで生まれます。虫に噛まれた茶葉が身を守ろうとして、独特の蜜の香りをつくる。人の手ではつくれない香りです。

どちらも、桃と違う香りをぶつけるために選んだのではありません。桃が持っている香りと、同じ方向だから選びました。違う香りで複雑にするのではなく、同じ方向を重ねて、桃の印象を広げる。

別添えの桃蜜は、途中でお好みの量をかけてください。パフェ全体を一律に甘くするのではなく、あなたの好みで、桃の甘さと香りを仕上げてもらうためです。

最初も桃、最後も桃。
旬の桃を、もっと美味しく。

完熟いちじくのパフェ イラスト
SEASONAL

完熟いちじくのパフェ

¥2,200

単体では美味しくないパーツが、入っています。

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寺田農園さんの完熟いちじくは、蜜の甘さと、花のような香りと、少しの青さ。香りも、味も、水分も、すでに完成しています。

考えたのは、この完成された味を、どうすればもっと楽しんでもらえるか。出した答えが、同じいちじくを三つの表情にすることでした。

  • 生のいちじく何も加えない、味の基準点
  • いちじくのソルベ凍らせると、温度と口どけが変わる。輪郭のはっきりした表情に
  • 軽くキャラメリゼしたいちじく表面だけを焦がして、香ばしさとわずかな苦味を。中は生のまま残るので、ひと口の中に対比が生まれます
  • ヨーグルトホエイのジュレ単体ではぼんやりした味です。いちじくと合わさると、甘さが際立ちます
  • ミルクジェラートいちじくのねっとりした食感と甘さを、広げる橋渡し役
  • サブレとアーモンドプラリネ柔らかい食感が続きすぎないように。いちじくの種のプチプチ感が消えない強さに抑えています

ホエイのジュレについて。

完熟いちじくは、甘いけれど酸がない果物です。酸を足せば、もっと美味しくなる。でもレモンでは、青さや花の香りが消えてしまう。ヨーグルトでは、主役を奪ってしまう。

だから、ヨーグルトから出るホエイだけを借りました。酸味も甘みも、発酵の風味も、すべて穏やか。単体で食べると、ぼんやりしています。

この穏やかさが、仕事をします。生のいちじくと合わされば甘さが際立ち、ジェラートと合わされば後味が軽くなる。パーツは、一杯の中で完成すればいい。

ひと口の中で、味が変わっていく。
そのままでも美味しいいちじくを、もっと美味しく。

メロンパフェ イラスト
SEASONAL

メロンパフェ

¥2,200

同じメロン、違う表情。

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生の三角メロンと、透明な球体のメロン。どちらも同じメロンです。

  • 生のメロンみずみずしさと甘さ。ここが味の基準点です
  • 透明な球体のメロンライムとバジルの香りを、果肉の奥まで含ませています
  • 白バラ牛乳のジェラートメロンの甘さを、乳で広げる
  • メロンのソルベ温度の流れを作る。冷たさで輪郭を締めます

なぜ透明になるのか。

ライムとバジルの香りをつけたシロップにメロンを沈めて、圧力を下げます。すると果肉の細胞のすきまにある空気が、膨らんで抜けていく。そこで圧力を戻すと、空になったすきまへシロップが一気に入り込みます。

果肉が不透明に見えるのは、このすきまの空気が光を散らしているからです。空気がシロップに置き換わると、光がまっすぐ通るようになる。だから透明になります。溶けたわけでも、色が変わったわけでもありません。

りんごの「蜜」と、同じ状態です。蜜入りりんごが半透明に見えるのも、細胞のすきまが液体で満たされて、空気がなくなっているからです。

僕は味を、時間で考えます。ひと口を口に入れてから飲み込むまでの数秒間に、アタック、ミドル、アフターがある。そこで何を起こすかを決めてから、素材の扱いを選びます。

このパフェのアタックは、メロンそのもの。ミドルは、温度と乳。そしてアフターに、ライムとバジル。

口に入れた瞬間はメロン。
余韻に、ライムとバジルが立ち上がります。

MOGUパフェ イラスト
SIGNATURE

MOGUパフェ

¥1,870

一年中あるのは、これだけです。

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季節のパフェは、フルーツが変わるたびに作り直します。その中で、一年を通してお出ししている一杯です。

主役はミルク。大山乳業の牛乳を、どうすればいちばん美味しく食べてもらえるかで組み立てています。

  • 二種類のジェラート同じ牛乳から作っています。仕上げ方を変えると、コクも余韻も別のものになります
  • 減圧したりんごトンカ豆とカルダモンの香りを、果肉の奥まで含ませています。フレッシュな食感とやさしい酸味は残したまま
  • アマゾンカカオ香り高く、奥行きのあるカカオ。ミルクの甘さに輪郭をつけます

りんごは、果肉の二割ほどが空気でできています。果物のなかでも、いちばん香りを含ませやすい素材です。だからここでは、りんごに香りを預けました。

同じ牛乳から違う味をつくる。同じ果実に違う香りを入れる。ひとつの素材から、いくつの表情を引き出せるか。この店の考え方が、いちばん素直に出ている一杯だと思います。

ひと口ごとに、表情が変わります。

同じパフェは、二度と出てきません。

旬のフルーツが変わるたびに、ゼロベースで作り直しています。
飾りではなく、設計から。

NEXT

フルーツが変わるたびに、
一杯ごと、作り直しています。

cafe mogu
大阪市中央区博労町1-5-15|7席
水〜土 10:00–21:30(土曜は18:00まで)
定休日:日・月・火
070-2100-4130
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